覚えていますか?
狂牛病騒ぎで吉野家から牛丼が姿を消したときのこと
もうそろそろ「無くなる」ってときに食べに行ったね、牛丼…
数十年後、僕らの頭はどうなっているんでしょうかね?
きっとアメリカ人だったら牛丼ではなくてハンバーガーなんでしょうね
アメリカ人もきっと大混乱!って思っていたら、TVに出ていたアメリカ人は「僕はマッチョだから狂牛病なんて関係ないよ」って言っていました
彼の健康を願わずにはおれません
ついでに彼のようなアメリカ人が極めて例外的な存在であることも願います
そんなハンバーガーをネタにした論文がとあるMLで話題になっている
あまりにも面白かったので取り上げてみる
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Prayson B, McMahon JT, Prayson RA. Fast food hamburgers: what are we really eating?
Ann Diagn Pathol. 2008;12(6):406-9. PMID: 18995204
目的
・8社のハンバーガーの内容物を調査する
方法
・ハンバーガーを8社から買い、ハンバーガー中の水分が占める割合を調べ、顕微鏡を使って肉を観察する
結果
・水分はハンバーガーの37.7〜62.4% (平均49%)を占めていた
・肉はハンバーガーの2.1〜14.8% (中央値12.1%)を占めていた
・ハンバーガーの値段は1グラム当たり$0.02〜$0.16 (中央値$0.03)で、肉の量と値段は関係がなかった
・電子顕微鏡を使った観察では横紋筋の構造(明帯、暗帯、Z帯)が保たれていた
・肉の中には結合組織、血管、末梢神経、脂肪組織、植物、軟骨と骨など、多彩な組織が見られた
・2社のハンバーガーから寄生虫(肉胞子虫、Sarcocystis)が見つかった
・どのハンバーガーにも脳は混入していなかった
考察
・水分が約50%を占めていたのはハンバーガーの材料に元々含まれていた水分と、作るときに加えられた液体に由来すると考えられる
・肉に含まれていた骨と軟骨は、精肉の過程で混入したものと考えられた
・数社のハンバーガーの肉に見られた植物は、肉の量を水増しするために加えられたものと考えられた
・肉が様々な過程で手を加えられているにもかかわらず、Z帯のような超微細構造が保たれていた
・意外な発見は、2社のハンバーガーの肉から寄生虫(肉胞子虫、Sarcocystis)が見つかったことである 肉胞子虫は様々な動物種を中間宿主とする寄生虫で、他の生物を補食したり、糞に接触することで感染する 多くの家畜がこの肉胞子虫に感染しているため、肉食動物に感染動物の肉を生で食べさせることは厳に戒めるべきである 肉胞子虫の人間への感染を報告したものは少なく、そのほとんどは肉胞子虫で汚染された食物や飲料水を摂取したことが原因と考えられる またヒトでは感染者の内ごく少数が何らかの症状を訴える 適切に調理されれば肉胞子虫は感染力を失う ヒトと同じように多くの家畜も症状がないが、感染した家畜は流産、脳炎や筋炎が発生する危険が高くなる
・ウシ海綿状脳症(BSE)感染の観点から脳組織の混入について検索したが、そのようなことはなかった この致死的な疾患はBSE感染家畜の脳を摂取すると人にも感染する(Creutzfeldt-Jakob病として知られている)
・未だにハンバーガーの肉の表示は信頼性が低い
どうです?
水分量云々や、肉の品質表示についてはアメリカと日本の基準が違うと考えられるのでどうでもいいんです
それより原文を読むと文章のつながりがぎこちなく所々引っかかるのですが、とても良くかけています
英語を母国語としている人間に対してこのような偉そうな口をきくのは大変おこがましいのですが、これには理由があります
それは筆頭著者と同じ名字の方が共同著者となっているのです つまり、家族である可能性が非常に高いのですね しかもこんなアホなことにかなりの金額をつっこんで調べているとなると身内に対するエゴでしかありません
私が考えたのは、「ブリジッドちゃんの夏休みの宿題をリチャード・パパが手伝って、それを学校で発表したらウケた ついでだから学術誌に送ってみたら掲載が許可された」というストーリーです
ちなみにLaurel Schoolでググってみると一発で筆頭著者の通う学校が見つかります 小学校から短大までをカバーする女学校のようです ですから彼女が何年生なのかは全く分かりません
肉胞子虫が見つからなかったら考察の半分が無くなってしまいますから、この場合は寄生虫に助けられたといった所でしょうか
ただし、食肉業界で流通している肉のどれくらいの割合で肉胞子虫が検出されるかなどの基礎的なデータについて触れられていないのはいただけません もしそのような情報がないならば調査の必要性について論じても良かったかもしれません (ヒステリックに「寄生虫を口にするなんて絶対イヤ!政府はこういうデータを開示するべきだわっ!」とか「加熱さえすれば感染しないのだからどーでもいーじゃん」とか)
ちなみに、同じような検討をホットドッグでもやっています 去年の宿題でしょうか?
まとめ
・焼き鳥やもつ鍋の組織標本を見たいと思ったことはあったが、加熱処理のために何も見えないものとあきらめていました 何事もやってみるべきですね
・ぜひ世界で活躍する病理医になっていつの日かお会いできることを楽しみにしています
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