2009/11/18

或る老女の独り言

或る老女の兄が死んだ

祭壇では老女にそっくりな兄が、
口をまっすぐに結んでこちらを見ている

老女は近頃ものの覚えが上手くないためか、
割と平然としている

式が終わり、会葬者がほとんどいなくなる
車いすを押して祭壇近くに行くと、
老女がポツリと言う

「骨壺を抱きたい」

膝の上に骨壺をそっと置くと、
老女は穏やかな声でつぶやいた

「お兄さん、さようなら」

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